1冊目『女神』三島由紀夫
僕が三島由紀夫を読み始めた理由は、
「三島由紀夫をよく読みます」とか言えたら格好良いよな~、という下らない、見栄っ張りなものでした。
そんなきっかけでしたが、今となってはそんな中二病丸出しの自分に感謝しています。
読んでみたら、思っていたよりも分かりやすく、ガッツリはまりました。
三島作品は深く、完成度が高いと評されます。それは間違いないと思います。
ただ、僕が三島作品が好きな理由はもっともっと表面的な部分です。
それは以下の点です。
・文章が美しい
・心理描写などの例えが秀逸かつ共感出来る
・登場人物が基本的に美男美女かつ色気がある
・癖になる退廃的な雰囲気が漂う
三島作品にはほぼ上記が共通している気がします。
一般的には『金閣寺』や『仮面の告白』が三島の代表作という見方をされていますが、個人的には上記2作品にはあまりピンと来ないのです。。
主に以下の理由かな?と感じています。
・主人公の価値観に共感出来ない
・なんかシリアスな雰囲気が疲れる
・盲目的に「三島と言えば金閣寺」という「信者」みたいな価値観を持ちたくないという反抗心
なんというか僕には、「三島作品をライトに楽しんでも良いよね?」という思いが強いのです。
多分「三島作品とはこう捉えるべきである」という確固たる考えをお持ちの方からすると、このブログはスカスカの天ぷらの様に感じられるかもしれませんが、僕が伝えたいのは、、「衣も美味しいよ~」という事なんです。(愚)
ある意味、このブログはそういった「読書警察」へのささやかなアンチテーゼとも言えます。(笑)
前置きが長くなりましたが、、
『癒しの読書』記念すべき1冊目は
『女神』(三島由紀夫)です!
まずタイトル、表紙からしてもう間違い無いです!
三島作品は「美意識」や「愛」(時には人工的な)がテーマである事が多いです。
その美意識や愛の様々な形を楽しむという感じでしょうか。
『女神』は表題作品の他にも複数の作品が納められている、短・中編のものです。
その中でも特に「これは良い!」と思ったものを紹介します!
ネタバレがあるといえば、あるのですが、
僕の説明の稚拙さにより、ネタバレを防げるのではないかと思っております。悲しい。。
『女神』
本を読むと、その物語から特定の曲を連想する事って無いですか?
毎回そうなる訳ではないんですが、この『女神』に関してはなんとなく、ドビュッシーの『デルフィの舞姫たち』という曲が頭に浮かぶのです。
スローテンポで穏やかなピアノソロの楽曲です。
この曲についての詳しい背景や解説は分からないのですが、曲名の通りお姫様が優雅に舞っているというイメージが湧きます。
『デルフィの舞姫たち』(YouTube)
https://youtu.be/rpEVKrLsAKs
この作品はざっくり言うと、
娘を美しく育て上げる父親と、その娘に恋をする若い男性2名の、「四角関係」の物語です。
本質的な部分では無いのですが、最も印象に残ったのは登場人物の美意識や気障な価値観です。
普通の感覚では「なんか鼻につくややこしい人達だな」という事になりそうですが、僕は「そういう美意識って大切かもな~」という具合で作者の予期せぬ部分に高揚感を抱きました。
三島作品を読んでいる時の高揚感は、IKEAで家具を眺め、「このテーブルを家に置いたらこんな生活が出来るかな??」等と想像する時のそれに近いものがあります。
つまり「こんな価値観を実生活に持ち込みたいな」という願いです。
実際にそれは叶わないのですが、ついクセになる感覚です。
この話の解釈は難しいのですが、
個人的には以下の通り捉えました。
・自分の美意識を娘に押し付けて満足する父親
・それに抵抗を感じつつも、従う娘
・なんやかんやあって、父親の美意識に沿って育ってしまう娘
・ただその美しさは本人達の想定を越える範囲のものになりつつある
うーん、自分で書きつつも
的を射ない部分もあるんですけどね。。
ただ、タイトルの通りどことなく品があり、かつ影も感じられる作品です。
話は変わりますが、三島作品はどことなく椎名林檎さんの楽曲を連想させるものがあります。
恐らく登場人物のキャラクターの雰囲気や、文章の表現によるものだと思うのですが。
『女神』に収録されている作品も『哲学』『伝説』『接吻』など、いかにもな漢字タイトルが多く、「椎名林檎さんは三島作品ファン?」と勝手な想像をしてしまいます!
真相は不明ですが、そうだったら嬉しいです。
と、まあこんな感じで第1回目の作品紹介は終了となります。
僕は何度も同じ作品を読むタイプですので、今後もこの記事を更新すると思います!
その時には感想や解釈が変わる事もあるかもしれませんが、そこは許してください!
以上です。
何事もライトな入口を好む方にはそこそこ適切だと思いますよ~!
読んで頂きありがとうございました。